あの頃、何を見ていた?1980年代テレビアニメ10年史
『Dr.スランプ アラレちゃん』『うる星やつら』『タッチ』『ドラゴンボール』。1980年代のテレビアニメを調べ直してみると、名前をよく知っている作品でも、いつ放送が始まったのか、ほかにどんな作品が同じ年に登場したのか、意外と知らないことがありました。
そこで、1980〜1989年に放送を開始したテレビアニメを年ごとに整理し、新作数と作品の顔ぶれを見比べてみました。すると、『Ζガンダム』や『タッチ』が始まった1985年は10年間で新作数が最も少なく、一方の1989年は最も多い年だったことが分かりました。作品数の多さだけでは見えてこない、各年の違いもあります。
この記事では、同じ年に始まった名作に加え、漫画・小説原作とオリジナル企画の違い、制作会社や玩具・菓子とのつながり、年間新作数の変化を紹介します。懐かしい作品を思い出しながら、80年代のテレビアニメを別の角度から振り返ってみます。
気になる時代から読んでも、最初から順番にたどっても楽しめます。
ロボットアニメの進化と、ギャグ・魔法少女作品の広がり
SFも文学もギャグも。80年代の出発点は、驚くほどにぎやかでした。
1980年の『伝説巨神イデオン』は、日本サンライズが手がけたアニメオリジナルのロボット作品です。『宇宙戦士バルディオス』などのSF作品と並ぶ一方、日本アニメーションの『トム・ソーヤーの冒険』は文学を原作とする「世界名作劇場」の一作。同じテレビアニメでも、物語の出発点も制作会社の得意分野もさまざまでした。
1981年には『週刊少年ジャンプ』連載の『Dr.スランプ』や、『週刊少年サンデー』連載の『うる星やつら』がテレビアニメに。対して1982年の『超時空要塞マクロス』はアニメオリジナルで、メカと歌、恋愛を組み合わせました。葦プロダクションの『魔法のプリンセス ミンキーモモ』もオリジナル企画。人気漫画の映像化だけでなく、アニメから生まれる世界も広がっていました。
『トム・ソーヤーの冒険』のような文学原作、『Dr.スランプ』のような漫画原作がある一方、『イデオン』『マクロス』『ミンキーモモ』はアニメオリジナル。80年代初頭の豊かさは、ジャンルだけでなく作品の生まれ方にも表れていました。
ボトムズ、キャプテン翼、北斗の拳が登場した多彩な2年間
作品ごとにまったく違う熱狂が生まれ、テレビアニメの顔ぶれがさらに広がります。
1983年は、日本サンライズが『聖戦士ダンバイン』『装甲騎兵ボトムズ』『銀河漂流バイファム』と、方向性の異なるオリジナルのロボット作品を送り出しました。一方、『キン肉マン』『キャプテン翼』『キャッツ・アイ』は『週刊少年ジャンプ』連載漫画が原作。制作側がゼロから世界を組み立てる作品と、誌面ですでに親しまれた物語を映像化する作品が、同じ年のテレビに並びました。
1984年にはサンライズ制作の『重戦機エルガイム』『巨神ゴーグ』が登場。『北斗の拳』は『週刊少年ジャンプ』発の漫画原作で、対照的に『とんがり帽子のメモル』は東映動画のオリジナル作品です。さらに、前年開始の『魔法の天使クリィミーマミ』はスタジオぴえろ初のオリジナルTVシリーズ。架空のアイドルと実際に主題歌を歌う太田貴子を重ねるなど、原作の有無だけでは語れない企画の工夫も見えてきます。
サンライズは『ダンバイン』『ボトムズ』『バイファム』で異なる世界を描き、ジャンプ原作の『キン肉マン』『キャプテン翼』『北斗の拳』もテレビへ。さらに『クリィミーマミ』では、オリジナルアニメと歌手の活動が結びつきました。作品を届ける方法そのものが多彩です。
Ζガンダム、タッチ、ドラゴンボール。今につながる作品が並んだ2年間
印象に残る名作の多さと、新しく始まった作品の数は、必ずしも同じではありません。
1985年は、サンライズの『機動戦士Ζガンダム』『蒼き流星SPTレイズナー』に、あだち充の漫画を原作とする『タッチ』、小説を原作とする『ダーティペア』、『週刊少年ジャンプ』発の『ハイスクール!奇面組』が並びました。続編、オリジナル企画、漫画・小説原作と出自は多様ですが、今回の集計ではこの年の新作数は80年代で最少です。
翌1986年には、東映動画が『週刊少年ジャンプ』原作の『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』をアニメ化。『聖闘士星矢』では、バンダイの可動フィギュア「聖闘士聖衣大系」も人気を集めました。高橋留美子の漫画原作『めぞん一刻』が始まる一方、サンライズは『機動戦士ガンダムΖΖ』でシリーズを継続。原作漫画の人気、映像のシリーズ展開、玩具という異なる入り口が共存していた2年間です。
1985年はガンダムの続編、オリジナルSF、漫画・小説原作が並び、翌年は『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』がテレビへ。『聖闘士星矢』の聖衣玩具のように、放送の外へ広がる楽しみもありました。作品数と、作品が持つ広がりは別のものです。
ビックリマン、ワタル、ドラゴンボールZ。楽しみはテレビの外へ
好きな作品に触れる場所が、番組の放送時間だけではなくなっていきます。
1987年には『シティーハンター』『きまぐれオレンジ☆ロード』『エスパー魔美』など漫画原作のアニメが登場。その一方、『ビックリマン』はロッテの菓子に付属する「悪魔VS天使シール」の世界を、東映動画がテレビアニメとして展開した作品です。出版社の漫画とは別に、お菓子のおまけから物語がテレビへ広がる経路も生まれていました。
1988年には絵本原作の『それいけ!アンパンマン』、漫画原作の『キテレツ大百科』に加え、サンライズのオリジナル企画『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝サムライトルーパー』が始まります。『ワタル』はタカラの魔神プラモデル「プラクション」とも結びつき、テレビで活躍するメカを手元で組み立てる楽しさがありました。1989年には漫画原作の『ドラゴンボールZ』『らんま1/2』、シール由来の『新ビックリマン』、ゲームを原案とする『ドラゴンクエスト』『桃太郎伝説』も登場します。
『ビックリマン』のロッテ、『ワタル』のタカラ、『聖闘士星矢』の聖衣玩具を展開したバンダイ。各社の関わり方は同一ではありませんが、作品世界に触れる入口がテレビ以外にも用意されていました。玩具連動自体は80年代後半に始まったものではなく、この時期の作品を見比べると、菓子・組み立て玩具・キャラクターフィギュアなど、その形の違いがよく分かります。
『ビックリマン』はロッテのシールからアニメへ、『ワタル』はタカラのプラクションでテレビの魔神を手元へ。さらにゲームを原案とする『ドラゴンクエスト』も登場しました。玩具連動は以前からありましたが、この時期は原作や商品とのつながり方の違いが際立ちます。
こうして並べると、意外な10年間。
ここまでに登場した作品を、放送開始年別の新作数からもう一度眺めてみます。今回確認した1980〜1989年開始のテレビアニメは、計316作品です。
当サイト集計/単位:各年に放送を開始したテレビアニメ作品数。棒の長さは43作品を100%として表示。
1983年に37作品まで増えたあと、1985年には22作品へ減少。そこから再び増え、1989年は43作品となりました。80年代の新作数は、右肩上がりの一直線ではありませんでした。
80年代前半と後半、何が変わった?
ロボットや文学作品が後半に消えたわけでも、漫画原作や玩具との連動が後半に突然始まったわけでもありません。ただ、当時の代表作を並べると、テレビの中で目立つ顔ぶれと、作品の楽しみ方が少しずつ広がったことが見えてきます。
80年代前半
SF、ロボット、名作文学に、ギャグや少女向け作品が共存。
- イデオン
- トム・ソーヤーの冒険
- アラレちゃん
- ミンキーモモ
80年代後半
大型の漫画原作シリーズ、玩具・シール・ゲームにつながる作品も目立つ。
- ドラゴンボール
- ビックリマン
- 魔神英雄伝ワタル
- ドラゴンクエスト
作品の顔ぶれをたどるだけでも、その時代に何がテレビをにぎわせていたかが思い出せます。では、あなたが夢中になっていた作品は、何年に始まったのでしょうか。
あのアニメは何年生まれ? 年別の資料室へ。
ここから先は、各年の詳しい作品一覧へ。テレビアニメだけでなく、劇場アニメやOVAも同じ年の中で確認できます。気になる年を選んで、当時の顔ぶれを探してみてください。
掲載対象と集計について
本記事の316作品は、1980年1月1日〜1989年12月31日に日本で放送が始まったテレビアニメを、当サイトの対象基準に沿って集計した数です。
- 前年からの継続放送は、放送開始年にのみ計上します。
- 再放送、単発のテレビ特番、劇場アニメ、OVAは作品数に含めません。
- 実写とアニメの複合番組、純海外制作作品の日本語放送は集計から分けています。
- 短編・ミニ番組、番組内アニメ、BS初出、国際共同制作、第2期・放送再開などは、年別資料室で注記を付けて扱っています。
数字は当サイトの収録・分類基準によるもので、業界全体の公的な確定統計を示すものではありません。
主な参考資料
- Wikipedia日本語版(各作品の項目):作品名・放送時期などの照合
- 『80年代アニメ大全 日本アニメ黄金時代を築いた930タイトル』(双葉社):作品リストの基礎資料
- 東映アニメーション 作品ラインナップ
- サンライズ公式サイト
- ぴえろ魔法少女シリーズ公式サイト(クリィミーマミ)
- 聖闘士星矢アニメ公式サイト
- 日本アニメーション 作品紹介

















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