ビックリマンの「騎神アリババ」は、若神子から神帝へ進化した直後に闇落ちし、その後も復活、再魔洗礼、贖罪を重ねていくキャラクターです。
特にゴーストアリババへの変貌は、当時の読者に強い印象を残した展開でした。ただし、アリババの受難はそこで終わらず、後のシリーズでも形を変えて続いていきます。
まずは、第5弾で登場した騎神アリババから、アリババに何が起こったのかを時系列で追っていきます。
- アリババ進化の時系列一覧
- 聖魔大戦編(第5弾〜第9弾):騎神アリババからアリババ神帝へ
- 聖魔大戦編(第9弾):無縁ゾーンと超悪魔渦重合
- 魔洗礼(アイス版11弾):ゴーストアリババへの変貌
- 聖魔大戦編(第11弾):闇落ちの象徴ゴーストアリババ
- 次界争奪編(第18弾):聖Iアリババとしての再参陣
- 次界創造編(第19弾):ワープスライダーPとして本人復活
- パンゲラクシー編(第28弾):再魔洗礼とデューク・アリババ
- ジオ界編(超元祖第32弾):巨神亀獣アリババ
- 宙魔界・宙聖界編(第34弾):亀神アリババ
- 宙魔界・宙聖界編(第35弾〜第36弾):邪夢獣アリババと羅獣アリババ
- 反後四郎氏が語るアリババ流転の理由
- なぜアリババは「可哀想」と言われるのか
- さいごに
- 『ビックリマン』の関連記事
アリババ進化の時系列一覧
さくっと全体把握のため、まずは形態・登場弾・陣営・変化トリガーなどで整理します。
| 形態 | 登場弾 | 陣営・立場 | 変化トリガー | 役割・ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 騎神アリババ | 第5弾 | 天使 | 聖夢源で誕生 | 聖フェニックスらと共に次界を目指す旅に出る出発点。 |
| アリババ神帝 | 第9弾 | 天使 | 天聖門突破+明星クィーンとの合身 | 明星クィーンの理力でパワーアップした神帝形態。 |
| ゴーストアリババ | 第11弾 | 悪魔 | 魔穴に落下後、ワンダーマリアの魔洗礼 | 天使から悪魔へ変化した闇落ち形態。 |
| 聖Iアリババ | 第18弾 | 天使 | 聖梵ミロクの聖弾流で浄化→療養→再参陣 | 聖ボット防禦体となり、最終決戦で他の神帝と共に命を燃やす。 |
| ワープスライダーP(ワッP) | 第19弾 | 曼聖羅 | 曼聖羅が遺骸を回収し、本人のまま再生 | 他の6名がルーツ化したのに対し、アリババは本人として復活。 |
| 聖ワッP | 第22弾 | 曼聖羅 | 復活後の段階的強化 | アリババとしての名残を取り戻していく過程。 |
| ペガ・アリババ | 第22弾 | 曼聖羅 | ワッPの真の姿として回帰 | 記憶を封印されたまま、プッチー・オリンの護衛として忠誠を尽くす。 |
| デューク・アリババ | 第28弾 | 最強の魔界君主 | 創聖使影の再魔洗礼、ハムラビシーゲル化、明星魔クィーン介入 | 再び闇へ引き戻された、アリババ悪魔化の集大成。 |
| 巨神亀獣アリババ | 超元祖32弾 | 贖罪の象徴 | デュークの罪を背負い亀獣へ | 新たな大地を支え、罪を償う巨大な亀の怪物。 |
| 亀神アリババ | 34弾 | 天使シール(アリババ因子) | 黒十字架天女が若神子ルーツから誕生させる | 宙魔界に現れた亀獣の咆哮が、若神子としての聖心の目覚めを示す。 |
| 邪夢獣アリババ | 第35弾 | 悪魔 | 亀神アリババから悪魔として覚醒 | ゴーストアリババに近い外見を持ち、魂が異聖メディア側へ傾く。 |
| 羅獣アリババ | 第36弾 | 羅獣化形態 | 邪夢獣アリババからさらに変身 | アリババ最終進化形として描かれる、曼聖羅創造の層母胎を暗示する存在。 |
聖魔大戦編(第5弾〜第9弾):騎神アリババからアリババ神帝へ
アリババの始まりは、次界を目指す旅に参加した若神子の一人として登場します。第5弾では騎神アリババとして描かれ、聖フェニックスらと共に次界への道を進む重要人物となります。

第9弾では、天聖門の封印を司る12天使の協力によって次界への道が開かれます。その際、明星クィーンの理力を得たアリババは、アリババ神帝へ昇格します。

この昇格は、単なるパワーアップではありません。天聖門という世界の節目と、明星クィーンとの関係性が結びついた変化であり、アリババの英雄性を印象づける場面です。
聖魔大戦編(第9弾):無縁ゾーンと超悪魔渦重合
神帝たちが無縁ゾーンを進む中、サタンマリア率いる悪混鬼が合魔力「超悪魔渦重合(ウルトラデビルうずじゅうごう)」を発動します。この影響で生じた魔穴に、アリババ神帝だけが落下し、生死不明となります。

神帝へ昇格した直後に奈落へ落とされる展開は、アリババが不遇なキャラクターとして語られる最初の大きな転機です。
魔洗礼(アイス版11弾):ゴーストアリババへの変貌
魔穴に落ちたアリババは、創聖使から魔洗礼を受け、悪魔ヘッドゴーストアリババへ変貌します。

聖魔大戦編(第11弾):闇落ちの象徴ゴーストアリババ
第11弾では、次界道(じかいロード)を進む神帝たちの前に、悪魔ヘッドとなったゴーストアリババが立ちはだかります。天使から悪魔へ変化したこの展開は、以後のビックリマンにおける属性変化の代表例としても重要です。

聖梵ミロクの聖弾流で天使へ戻る
交戦中、曼聖羅の聖梵ミロクが放った聖弾流を浴びたことで、ゴーストアリババは魔洗礼の呪縛から解放されます。


アリババは療養のために次界捜索隊を離れ、天聖界へ帰還します。ただし、聖弾流によって曼聖羅の因子も埋め込まれたため、悪魔の因子と曼聖羅の因子を抱えることになります。この二重の因子が、後の流転へつながっていきます。
次界争奪編(第18弾):聖Iアリババとしての再参陣
次界争奪戦の終盤、アリババは体の一部を聖ボット化した聖Iアリババとして再び参陣します。最後のヘッド昇格を果たした神帝6名のもとへ駆けつける形です。

その後、アリババを含む神帝たちは、天使の未来を託したアンドロココを久遠域(くおんエリア)へ導くため、アーチ道の一部となって命を燃やし尽くします。神帝としてのアリババの物語は、ここでいったん戦死として描かれます。
次界創造編(第19弾):ワープスライダーPとして本人復活
戦死したアリババの魂は曼聖羅に流れ着き、異聖メディアに救われます。さらに配下の聖梵ムガルが肉体を再生し、アリババはワープスライダーPとして復活します。

ここで重要なのは、他の神帝たちがメイドン天使へと転生したのに対し、アリババだけは本人として息を吹き返した点です。ただし、復活時には過去の記憶が封印されています。
その後、アリババは聖ワッP、ペガ・アリババへと段階的に名残を取り戻します。記憶を失ったまま、異聖メディアの娘プッチー・オリンの護衛として曼聖羅に忠誠を尽くすことになります。


復活しても自分の過去を知らないという構図は、アリババの不遇さをさらに強める要素です。
パンゲラクシー編(第28弾):再魔洗礼とデューク・アリババ
第26弾からは、真の次界とされる惑星パンゲラクシーが舞台になります。そこでは、かつての若神子のルーツメモリーを持つパンゲアクターたちと悪魔たちによる聖魔究極戦が展開されます。
その過程で、かつて異聖メディアに仕え、肉体を失って怨霊となった古代神団創聖使影(そうせいしシャドー)が登場します。創聖使影は、魔因子を残すペガ・アリババをパンゲ世界へ強制召喚し、再び魔洗礼を施します。
こうして誕生したのが、最強の魔界君主デューク・アリババです。

アリババは一度闇落ちから戻ったにもかかわらず、別の戦いの構造の中で再び最強の悪魔へ引き戻されます。この再転落が、シリーズをまたいだ悲劇の連鎖として語られる理由です。
ジオ界編(超元祖第32弾):巨神亀獣アリババ
聖魔究極戦の終結後、新たに生まれたジオ界をめぐる宿命が再編されます。その中でアリババは、世界を破滅に導いた罪を背負い、巨神亀獣(ギガンタートル)アリババとなります。
巨神亀獣アリババは、人型の戦士ではなく、ジオ界の大地を支え続ける存在です。デューク・アリババとしての罪を償うため、世界そのものを支える贖罪の象徴として描かれます。

宙魔界・宙聖界編(第34弾):亀神アリババ
第34弾では、新たな舞台である宙魔界に亀神アリババが登場します。黒十字架天女が若神子ルーツのアリババから誕生させた存在で、アリババ因子を持つ天使シールとして位置づけられます。

亀神アリババは、騎神アリババから続く「亀」のモチーフを再構築した形態です。神帝への昇格、ゴースト化、聖Iアリババ、ワープスライダーP、デューク・アリババ、巨神亀獣アリババへと続いた流れを受け継ぐ存在として見ることができます。
腹部には聖神ナディアが映し出されており、若神子としての聖心を取り戻す過程を示しているようにも見えます。
宙魔界・宙聖界編(第35弾〜第36弾):邪夢獣アリババと羅獣アリババ
邪夢獣アリババ

邪夢獣アリババは、亀神アリババから悪魔として覚醒した姿です。かつての巨魔霊・ゴーストアリババに似た異質な外見を持ち、腹部の聖神ナディアは異聖メディアへ変化しています。この描写は、アリババの魂が異聖メディア側へ傾いていることを示唆しています。
羅獣アリババ

羅獣アリババは、邪夢獣アリババからさらに羅獣化した形態です。腹部には異聖メディアを宿しており、完全に聖心を失ったアリババとして描かれます。
宙魔界と宙聖界の消滅によって現れた新層の中で、雪華甲羅が開き、アリババは羅獣化変身を遂げます。第36弾時点では、アリババの最終進化形にあたる存在です。
羅獣アリババは聖魔大戦の命運を握る存在として扱われ、度重なる変貌を経て、曼聖羅創造の新たな層母胎となる運命を暗示されているとされます。
反後四郎氏が語るアリババ流転の理由
アリババの変化を追うと、「なぜアリババだけがここまで過酷な運命を背負うのか」という疑問が残ります。この点について、2006年発売の『ハイパーホビー』1月号のビックリマン特集では、ビックリマンの生みの親である反後四郎氏が重要な発言をしています。

「アリババはもともとそのために生まれたキャラクター」
「善と悪の間を行き来する」
「彼は美男子でしょう?やはりこういった事件は美男子の身に起きないと、悲劇になりませんからね(笑)」
「『ビックリマン』の隠れた主役の1人」
『ハイパーホビー』2006年1月号「ビックリマン特集」p.111「反後博士が今こそ語る アリババ流転抄・秘話」より
反後氏の発言からは、アリババが単に悪魔化のために使われたキャラクターではなく、善と悪のあいだを揺れ動く存在として設計されていたことが分かります。悲劇を背負うことで印象を強めるキャラクターでもあり、ビックリマン全体における「隠れた主役の1人」として位置づけられています。
また、アリババを神帝へ導く明星クィーンにも、昼の顔と夜の顔、明と暗の両面が込められています。その仕掛けが最初に大きく表れるのがゴーストアリババであり、反後氏は後付けではないと語っています。
さらに反後氏は、昔話の盗賊アリババにも触れています。「盗賊の宝を盗む」という善悪のどちらにも振り切れない人物像が、ビックリマンのアリババにも重ねられているという説明です。
特に重要なのは、アリババには他の神帝たちと違って子孫がいない、という点です。反後氏によれば、ビックリマン全編に姿を変えて登場するアリババは、すべて本人、つまり同一人物とされています。
この説明を踏まえると、騎神アリババ、アリババ神帝、ゴーストアリババ、デューク・アリババなどの変化は、アリババ本人が背負い続けた流転として読むことができます。
なぜアリババは「可哀想」と言われるのか
アリババが「可哀想」と言われやすい理由は、上昇・闇落ち・救済・再転落・贖罪が、同一人物に何度も重ねられているためです。
- 神帝になった直後に落とされる
騎神アリババからアリババ神帝へ進化した直後、超悪魔渦重合で生じた魔穴に落ち、生死不明となります。 - 闇落ちが単なる洗脳で終わらない
魔洗礼によってゴーストアリババへ変貌しますが、反後四郎氏の発言を踏まえると、これは後付けの悪魔化ではなく、アリババが持つ善悪のあいだを揺れる性質が表れた展開と考えられます。 - 救済後も安寧が続かない
聖梵ミロクの聖弾流によって解放されますが、アリババは曼聖羅の因子と魔性を抱え、他の神帝たちとは違う運命を進みます。 - 敵側にいても守る役割を失わない
曼聖羅側にいる時期のアリババも、プッチー・オリンを守る存在として描かれます。敵方に回っても完全な悪になりきれない点が、アリババの複雑さです。 - 子孫ではなく本人として流転し続ける
反後氏は、他の神帝たちと違ってアリババには子孫がおらず、全編に姿を変えて登場するアリババは同一人物だと語っています。アリババの苦難は世代交代ではなく、一人のキャラクターが背負い続けているものです。 - 最終的に大きな贖罪を背負う
デューク・アリババを経て、巨神亀獣アリババとして大地を支える存在になります。アリババの運命は個人の悲劇を超え、ビックリマン世界そのものに関わる贖罪へ向かいます。
こうして見ると、アリババは単に「酷い扱いを受けたキャラ」ではありません。むしろ、ビックリマン世界の善と悪、聖と魔、救済と贖罪の境界を、もっとも長く背負わされたキャラクターだと感じます。
反後氏が「隠れた主役の1人」と語るほど重要な存在でありながら、ここまで過酷な流転を背負わされている。だからこそ、アリババはビックリマンの中でも特に「可哀想」と言われやすいキャラクターなのだと思います。
さいごに
反後氏のインタビューを読むと「隠れた主役の1人」であり、ビックリマン世界の深い部分を背負った存在という事は理解はできます。
とはいえ、80年代当時ビックリマンを集めていた一部の子供達に軽いトラウマを埋めつけたアリババ(=ゴーストアリババ)が、まさか反後氏が関わってない33弾以降ではさらに酷い扱いになっているのにビックリです。こうしてみると、ロッテさんアリババの扱いがひどいなぁと思います。
ちなみに、現在の最新弾である第36弾ではヘッドのハムラビシーゲルの剣に何故かアリババの頭部が入っている設定です。もはや闇落ちですらない。

36弾以降は販売が止まっているので続編がでるのか不明ですが、アリババはもう解放してあげてくださいロッテさん…。
出典:ロッテ ビックリマン公式サイト / Wikipedia / ビックリマンシール大全集(宝島社) / 80年こども大全(宝島社) / コロコロコミック(小学館) / ハイパーホビー2006年1月号
(C) LOTTE / ビックリマンプロジェクト / 小学館

コメント
これ以上アリババで遊ぶのを本当にやめて欲しい。
贖罪なんかじゃない、救済として大地となり永遠に休む、それでいいでしょ、もう彼は十分やった。
コメントありがとうございます。本当にアリババを残酷な方向でいじくり回すのはもう止めてほしいですね。。
大昔何かで『ヤマトは勝ち組の象徴、アリババは負け組の象徴』って表現されてたのを思い出した
確かにその通りかもしれないけど・・アリババがあんまりだと思った
コメントありがとうございますー
たしかにヤマトと比べるとアリババの扱いの酷さがなんだか際立ちますね