旧ビックリマン(悪魔VS天使シール)シリーズの結末については、第31弾で終了したという事実がある一方で、その完結性や未完性の評価について、複数の異なる記述が存在しています。
1992年の旧ビックリマン第31弾ではスサノオロ士の誕生で物語が区切られており、聖魔究極戦の決着までは明確に描かれていません。
しかし、2000年に発売された「ビックリマン超元祖31弾完全版」ではスサノオロ士の勝利と新世界創造が語られ、戦いには決着がつきます。
さらに、ビックリマン生みの親である反後四郎氏の発言からは、第31弾後に描いていた独自の構想があったことも確認できます。
この記事では、旧第31弾、超元祖31弾完全版、各資料の反後四郎氏の発言のそれぞれを明確に分け、事実と資料に基づく推測を切り分けながら結末の構造を整理したいと思います。
- 結論:戦いは完結し、構想には未完性が残った
- 旧第31弾では、スサノオロ士の誕生で物語が区切られる
- 2000年の『ビックリマンシール完全大百科』では「未完」に触れられている
- 同じ書籍で「第31弾の完結編」も予告されていた
- 超元祖31弾で、スサノオロ士の勝利が語られる
- 若神子、マルコ、ネイロスにも帰結が与えられる
- 後年資料では、超元祖31弾の名前が前面に出にくい
- 旧ビックリマンの結末がわかりにくい理由
- 2016年の反後氏発言では、スサノオロ士の勝利は否定されていない
- 反後氏の構想としては、その先が残っていた
- 旧ビックリマンの結末を4つの視点で整理する
- まとめ:旧ビックリマンは完結したのか、未完だったのか
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結論:戦いは完結し、構想には未完性が残った
各資料を整理した結果、旧ビックリマンの結末は以下のようにまとめることができます。
- 旧第31弾(1992年)単体: スサノオロ士の誕生によって物語はいったん区切られており、この時点では最後の戦い(聖魔究極戦)の決着までは明確に描かれていません。
- 超元祖31弾(2000年)まで含める: スサノオロ士が悪魔勢力を打ち破り、新世界創造へつながる展開が描かれたことで、聖魔究極戦には決着がついています。
- 反後四郎氏の内的構想: スサノオロ士が最終戦争に勝利した後の展開、およびその先に続くはずだった物語が現実化していないという意味での未完性が残っています。
したがって、旧ビックリマンの結末は「最終戦争としての戦いは後年補完されて完結したが、反後四郎氏の構想としては未完性が残った」と整理するのが自然です。
旧第31弾では、スサノオロ士の誕生で物語が区切られる
1992年に発売された第31弾は、旧ビックリマン悪魔VS天使シリーズの最終弾にあたります。ストーリー上では、第26弾から続く「聖魔究極戦編」が最終局面を迎えていました。
この弾では、360番目のヘッドとして「スサノオロ士」が登場します。設定上では、八聖オロチが聖塔とアトランチン中核の光を受け、スサノオロ士へ至る場面が描かれました。

ただし、この1992年当時の旧第31弾単体においては、スサノオロ士の誕生と最終局面の到来までが提示された段階に留まっています。
具体的な勝敗や結末までは明確に描かれないまま、物語はいったん区切られることとなりました。
2000年の『ビックリマンシール完全大百科』では「未完」に触れられている
旧ビックリマンの販売終了から8年が経過した2000年11月、小学館から発売された『ビックリマンシール完全大百科』のなかで、反後四郎氏は旧第31弾の終わり方と未完性について以下のように回答しています。

──お話をうかがうと、この物語は未完ということになるのでしょうか?
反後:360番目のヘッドであるスサノオロ士を最後に生み出して、彼に新しい世界を作ってもらいましょうという形で終わっていますから、未完ととられるでしょうね。でも、私自身は未完を託すメッセージを彼に集中させたかったと思っています。
——『ビックリマンシール完全大百科』158ページより
ここでの発言から、旧ビックリマン第31弾の時点ではスサノオロ士のその後の描写が行われておらず、その形式が「未完」と受け取られる可能性について、反後氏自身が言及していたことが分かります。
同じ書籍で「第31弾の完結編」も予告されていた
反後氏が「未完を託すメッセージ」について語る一方で、同書『ビックリマンシール完全大百科』の巻末(192ページ)には、「第32弾…!? のウワサ」と題された告知ページが掲載されていました。

そこにはカタログ未掲載のキャラクターイラスト(ヤマト汎神など)とともに、以下のテキストが記載されています。
「(前略)ってことは、幻の第32弾? ええええ、聞いていないぞ。いったい、ナンナンダア!! と、ビックリされた皆さん、そうなんです。第31弾の完結編が近日登場するんです。というわけで、詳細はホームページの続報を待て!」
——『ビックリマンシール完全大百科』192ページより
見出しは「第32弾」を思わせる記述ですが、本文中では明確に「第31弾の完結編」の登場が近日予定されている旨が説明されています。このことから、2000年11月時点で、旧第31弾には後続の商品によって補うべき結末が用意されていたと考えられます。
超元祖31弾で、スサノオロ士の勝利が語られる
大百科の巻末予告に基づき、2000年12月に発売された商品が『超元祖ビックリマン 31弾完全編(以下、超元祖31弾)』です。この商品が展開されたことで、旧第31弾では描かれなかった聖魔究極戦の「決着」が具体化しました。
さらに、世界の中心にある「アトランチン中核」に秘められた力が呼び覚まされ、その力が新たなる世界「ジオ界」の創造へと繋がっていく流れが描写されました。

これにより、パンゲラクシーを舞台とした聖魔究極戦は終局を迎え、物語上の最終戦争には明確な決着がついたと言えます。
若神子、マルコ、ネイロスにも帰結が与えられる
超元祖31弾では、スサノオロ士の勝利だけでなく、旧シリーズ後期に登場した各キャラクターの物語についても、新世界創造のプロセスに組み込まれる形で整理が行われました。
- マルコとネイロスの運命:旧第25弾で物語が中断していたマルコ編の主人公・アレキサンマルコは「ソルマルコ」へと変化し、新世界の太陽に相当する存在となりました。対するライバルの内裏ネイロスは夜の月のような存在として位置づけられ、悪魔国家エズフィトの水没とともに、それぞれの物語に帰結が与えられています。

- 若神子(パンゲアクター)たちの変化:ヤマト神帝をはじめとする若神子たちの系譜は、最終的に「ヤマト汎神」などの汎神(はんじん)へと変化しました。これらは戦う存在から、新世界を形づくる存在(地球へ同化し、元素となる流れ)として位置づけられています。

後年資料では、超元祖31弾の名前が前面に出にくい
2000年の超元祖31弾によって最終戦争の決着が語られた一方、それ以降に発売されたビックリマン関連書籍においては、少し異なる伝え方をしています。
2006年発売の『ビックリマン大教典(小学館)』では、「ササノオロ士はどうしたのか?(中略)聖魔に分かれた神帝因子たちの仲はどうなったのか?(中略)それらは一体どんな結末を迎えたのだろうか」という、旧31弾時点の未完部分を強調する問いかけの形で説明されてます。

2015年発売の『ビックリマンシール大全集(別冊宝島 2297)』でも「物語は未完」と説明されてます。

一方、2016年発売の『ビックリマンシール悪魔VS天使編 ストーリー完全大聖典 (別冊宝島 2448) 』では少し異なる説明をしています。
この資料では、「超元祖31弾完全版」という具体的な商品名やパッケージ自体が触れられていませんが「スサノオロ士、アリババとハムラビを討ち取る」「パンゲラクシーを聖域化し、統一大陸とする」という、超元祖31弾で語られた結末のプロットそのものは、旧シリーズ全体のストーリー整理のなかに取り込まれています。

ストーリー完全大聖典(C) 宝島社
旧ビックリマンの結末がわかりにくい理由
旧ビックリマンの結末の全体像が分かりにくくなっている要因の一つには、こうした資料上・商品展開上の整理のされ方に起因するのではと考えられます。
- 旧ビックリマン第31弾(1992年)の段階では、スサノオロ士の誕生までしか描かれず決着が不明だった。
- 超元祖31弾(2000年)によって、スサノオロ士の勝利と新世界創造という決着が商品化された。
- 後年の資料・ムック本においては、「超元祖31弾」という商品名は出てこない一方で、そこで語られた結末のストーリーラインだけは「旧31弾の結末」としてストーリー説明に採用されている。
このように、商品としての枠組みと、後年書籍におけるストーリーの記述スタイルが一続きに整理されていません。
2016年の反後氏発言では、スサノオロ士の勝利は否定されていない
2016年に発売された『ビックリマンシール 悪魔VS天使編 ストーリー完全大聖典(別冊宝島2448 )』のインタビューにおいて、反後四郎氏はスサノオロ士の勝敗に関する質問に対し、次のように述べています。

──気になるのは真のエンディングです。スサノオロ士がデューク・アリババとハムラビシーゲルを倒し……でいいんですよね?
反後:そうですね。ただ、その後の展開も頭のなかでは考えてはいて。「なぜスサノオロ士が最後のヘッドとして登場したか」が重要な点です。
——『ストーリー完全大聖典』138ページより
この発言から言えるのは、インタビュアーが提示した「スサノオロ士が勝利して決着した」というストーリーの整理について、反後氏自身も短く肯定しており、その勝利の事実を否定していないということです。
ただし、この回答のみを根拠として、反後氏が後年の超元祖31弾におけるすべての設定やロッテ主導の展開を「全面的に承認・監修した」とまで断定はできず、あくまで物語上の勝敗としての整理を肯定したという事実に留まります。
反後氏の構想としては、その先が残っていた
そして、上記の2016年インタビューにおいて、反後氏はスサノオロ士が最終戦争に勝利した「その先」に予定していた独自の内的構想を明かしています。
反後氏の頭の中にあった構想とは、スサノオロ士を中心に、「大陸からの日本国の成り立ちや、日本神話的なストーリー展開」へ繋げていくというプロットでした。お守りという存在を「人類の祖先」として位置づけ、ビックリマンの世界を日本誕生の神話へと接続するテーマを考えていたそうです。
しかし、当時はメディア(児童誌など)のバックアップがすでに途絶えており、この構想を現実のシールとして展開することは叶いませんでした。
ここで、反後氏の発言における「未完」の意味が分かれます。
旧第31弾が持っていた「決着が描かれない未完感」は超元祖31弾等の展開によって補完されましたが、反後氏の内的構想としては、「スサノオロ士の勝利後に広がるはずだった、日本神話をモチーフにしたその先の物語が実現していない」という別の意味での未完性が残されたことになります。
二つの「未完」の整理
| 未完の種類 | 内容 |
| 旧第31弾単体の未完 | スサノオロ士の誕生後、最終戦争の勝敗や決着が商品上で明確に描かれなかったことによるもの。 |
| 反後氏の構想としての未完 | スサノオロ士が勝利を収めた後、その先に展開する予定だった「日本神話・日本国誕生」のストーリーが実現しなかったことによるもの。 |
旧ビックリマンの結末を4つの視点で整理する
ここまで解説してきた内容をベースに、旧ビックリマンの結末における「4つの視点」を一覧表で整理します。
| 視点・切り口 | 結末の整理 |
| 旧第31弾だけで見る | スサノオロ士の誕生によって物語はいったん区切られる。聖魔究極戦の勝敗や明確な決着までは描かれない。 |
| 超元祖31弾まで含める | スサノオロ士が悪魔勢力を打ち破り、新世界創造へつながる。聖魔究極戦には物語上の決着がつく。 |
| 後年資料から見る | 超元祖31弾という商品名は前面に出にくいが、そこで語られた結末のストーリー整理自体は公式解説に取り込まれているように見える。 |
| 反後氏の発言から見る | スサノオロ士が勝利したという整理は否定されていない。ただし、勝利そのものの先を扱おうとしていた独自の神話的構想には未完性が残る。 |
まとめ:旧ビックリマンは完結したのか、未完だったのか

旧ビックリマン第31弾の結末は、歴史的な商品展開と制作者の発言を踏まえると、単純な完結・未完の二択ではなく、重層的な構造のように見えます。
旧ビックリマン第31弾ではスサノオロ士の誕生によって物語はいったん区切られ、戦いの決着は明確になりませんでした。
その後、2000年の超元祖31弾完全版や後年の資料整理によって、スサノオロ士の勝利と新世界創造という「最終戦争の決着」が与えられ、現在ではロッテの公式設定となっています。
未来への希望として聖魔究極大戦を制したスサノオロ士。パンゲラクシーのアトランチン中核を目覚めさせ、新たにジオ界を構築する。
しかし、生みの親である反後四郎氏のインタビューで出てきた、スサノオロ士の勝利の先に続くはずだった「日本神話・日本国の成り立ち」という独自の構想は実現していません。
各資料の記述を客観的に整理していくと、旧ビックリマンの結末は「物語上の最終戦争は後年の展開によって完結したが、生みの親である反後四郎氏が描こうとした世界の構想としては未完性を残した」という結論に至ります 。
個人的にはスサノオロ士を中心に日本神話のドラマへと紡がれるはずだったという反後氏の壮大な構想を文字通りシールで実現してほしかったなと思います。
ただ、公式の完結と未実現のロマンが同居するこの重層的な構造が、旧ビックリマンという作品を今なお深く、興味深いものにしている要素の一つでなのではないでしょうか。
出典:ロッテ ビックリマン公式サイト/ビックリマンシール完全大百科/ビックリマンストーリー大聖典/ビックリマン大経典/ビックリマンシール完全百科/wikipedia

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