ビックリマンの「騎神アリババ」は、若神子から神帝へと進化した直後に闇落ちさせられ、それでも再び立ち上がるという、かなり過酷な運命を背負ったキャラクターです。
ビックリマンの世界は全体的にどこか不気味な雰囲気があるのですが、当時子供だった私はアリババがゴーストアリババになったのが特に怖かった記憶です。
ブームが下火になってアリババのその後なんて知らなかったですが、調べたらアリババのその後がひどい扱いでびっくりしました…。
ここでは、初登場の第5弾から第35弾までという長い時間軸に沿って、呪われ続けているアリババの系譜を整理したいと思います。
- アリババ進化の時系列一覧(まず全体像)
- 聖魔大戦編(第5弾〜第9弾)騎神アリババからアリババ神帝へ
- 聖魔大戦編(第9弾)無縁ゾーンと「超悪魔渦重合」
- 聖魔大戦編(第11弾)闇落ちの象徴ゴーストアリババ
- 次界争奪編(第19弾):神帝としてのアリババの末路、聖Iアリババ
- 次界創造編(第20弾):ワープスライダーPとして“本人復活”
- パンゲラクシー編(第28弾):再魔洗礼とデューク・アリババ
- ジオ界編(超元祖第32弾):巨神亀獣(ギガンタートル)アリババ
- 宙魔界・宙聖界編(第34弾):亀神アリババという“再構築”
- 宙魔界・宙聖界編(第35〜36弾):悲劇のキャラ、アリババ最終形態
- なぜアリババは「可哀想」と言われるのか
- さいごに
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アリババ進化の時系列一覧(まず全体像)
アリババの変化は、長期の系譜として次の順で整理すると一気に理解しやすくなります。
| 形態 | 登場弾 | 陣営・立場 | 変化トリガー | ざっくり役割・ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 騎神アリババ | 第5弾 | 天使 | 聖夢源で誕生 | 聖フェニックスらと共に次界を目指す旅に出る出発点。 |
| アリババ神帝 | 第9弾 | 天使 | 天聖門突破+明星クィーンとの合身 | 明星クィーンの理力でパワーアップした神帝形態。 |
| ゴーストアリババ | 第11弾 | 悪魔 | 魔穴に落下後、ワンダーマリアの魔洗礼 | 闇落ちしたアリババ。悲劇の始まり。 |
| 聖Iアリババ | 第18弾 | 天使 | 聖梵ミロクの聖弾流で浄化→療養→再参陣 | 聖ボット防禦体となり、最終決戦で他の神帝と共に死亡。 |
| ワープスライダーP(ワッP) | 第19弾 | 本人復活/転生体 | 曼聖羅が遺骸を回収し、本人のまま再生 | 他の6名がルーツ化したのと対照的な“特別復活”。 |
| 聖ワッP | 第22弾 | 曼聖羅 | 復活後の段階的強化 | 徐々に名残を取り戻すプロセス。 |
| ペガ・アリババ | 同上 | 曼聖羅(護衛) | ワッPの真の姿として回帰 | 記憶封印のままプッチー・オリン護衛として忠誠。 |
| デューク・アリババ | 第28弾 | 最強の魔界君主 | 創聖使影の再魔洗礼、ハムラビシーゲル化、明星魔クィーン介入 | “再闇落ち”の集大成。 |
| 巨神亀獣アリババ | 超元祖32弾 | 贖罪の象徴 | デュークの罪を背負い亀獣へ | 新たな大地を支えることで罪を償う、巨大な亀の怪物。 |
| 亀神アリババ | 34弾 | 天使シール(アリババ因子) | 黒十字架天女が若神子ルーツから誕生させる | 宙魔界に現れた亀獣の咆哮が、若神子としての聖心の目覚めでもある。 |
聖魔大戦編(第5弾〜第9弾)騎神アリババからアリババ神帝へ
アリババは、次界を目指す旅に参加した若神子の一人として登場します。道中で“騎神アリババ”としての存在感を示し、やがて神帝へ昇格する重要人物となります。

天聖門の封印を司る12天使の協力を得て次界への道が開かれた際、深い愛情を結んだ明星クィーンの理力を得てアリババ神帝に昇格します。

ただのパワーアップではなく、世界の大きな節目(天聖門)と関係性(明星クィーン)が結びついた昇格である点が、アリババの“英雄性”を強く印象づけます。
聖魔大戦編(第9弾)無縁ゾーンと「超悪魔渦重合」
神帝達が果てしなく続く無縁ゾーンを進行中、サタンマリア率いる悪混鬼が、合魔力「超悪魔渦重合(ウルトラデビルうずじゅうごう)」を発動。そこで生じた魔穴にアリババ神帝だけが落ちて生死不明となります。
神帝に昇格した直後に“奈落へ落とされる”この落差が、アリババが「可哀想」と語られる最大の起点になっています。
聖魔大戦編(第11弾)闇落ちの象徴ゴーストアリババ
次界道(じかいロード)を進む神帝達の前に、創聖使から魔洗礼を受けて悪魔ヘッドと化したゴーストアリババが立ちはだかります。

聖梵ミロクの聖弾流で解放され、天使へ戻る
しかし交戦中に突如現れた聖梵ミロクが放った聖弾流を浴びた影響で、ゴーストアリババは魔洗礼の呪縛から解放されます。アリババは療養のために次界捜索隊を離脱し、天聖界へ帰還します。
ここはアリババの物語を理解するうえで最重要ポイントです。ゴーストアリババの後は“終わり”ではなく“回復と復帰”のラインがあり、後の聖Iアリババへ自然につながります。
次界争奪編(第19弾):神帝としてのアリババの末路、聖Iアリババ
次界争奪戦の終盤、最後のヘッド昇格を果たした神帝6名の元へ、体の一部を聖ボット化した「聖Iアリババ」として参陣します。

そして天使の未来を託したアンドロココを久遠域(くおんエリア)へ導くべく、アーチ道の1本となって己の命を燃やし尽くす。アリババ含む神帝達の末路は、単なる戦死ではなく未来を通すための“道”になる自己犠牲として描かれます。
次界創造編(第20弾):ワープスライダーPとして“本人復活”
アリババの遺骸は曼聖羅によって秘密裏に回収されており、長い時間をかけて他の神帝6名は転生(ルーツ化)したのに反して、ワープスライダーPとしてアリババ本人のまま息を吹き返すという特異な再生を果たします。

その後、聖ワッP、ペガ・アリババへと段階的に名残を取り戻していきますが、復活に際して過去の記憶が一切封印されているため、異聖メディアの娘プッチー・オリンの護衛として曼聖羅に忠誠を尽くします。


“復活したのに自分の過去を知らない”という構図は、アリババがさらに「可哀想」と感じられる大きな理由のひとつです。
パンゲラクシー編(第28弾):再魔洗礼とデューク・アリババ
ピア・マルコたちの活躍によって成立した統合世界「新河系」の統治権を巡り、魔妃クレオクス率いるエズフィト王国、ダークマター率いる大魔テーションとの三つ巴戦に突入します。
その過程で、かつて異聖メディアに仕えていたが肉体を失って怨霊と化した古代神団「創聖使影(そうせいしシャドー)」が、魔因子を残すペガ・アリババをパンゲ世界へ強制召喚し再び魔洗礼を施し最強の魔界君主「デューク・アリババ」になる。

“闇落ちからの復帰”を経験したはずのアリババが、さらに別の戦いの構造のなかで再び魔に引き戻される。この重さが、シリーズを跨いだ“悲劇の連鎖”として語られる理由です。
ジオ界編(超元祖第32弾):巨神亀獣(ギガンタートル)アリババ
あらゆる世界の住民が覇権を賭けて争う聖魔究極戦が終結し、新たに生まれたジオ界を巡る宿命が再編されていく中、アリババは世界を破滅に導いた贖罪のために、巨神亀獣(ギガンタートル)となってジオ界の大地を支え続けるという、最も過酷な運命を受け入れます。
もはや人型の戦士ではなく、世界そのものを支える“贖罪の柱”として存在し続ける。アリババの“可哀想さ”が神話級の重さに到達するのがこの段階です。

宙魔界・宙聖界編(第34弾):亀神アリババという“再構築”
全ての罪を背負い事を終えたはずのアリババでしたが、第34弾で新たな舞台である宙魔界で黒十字架天女が若神子ルーツのアリババを悪魔として「亀神アリババ」を誕生させます。

若神子としての騎神アリババ、神帝への昇格、ゴーストとしての闇落ち、聖Iとしての末路、曼聖羅での“本人復活”、そしてデューク化と巨神亀獣の贖罪――。
こうした長い変遷を知っていくほど、第34弾の亀神アリババは過去のアリババが背負ってきたものを“亀”というモチーフに圧縮して受け継ぐ存在として印象に残ります。
腹部に聖神ナディアが映し出されており、一見すると“聖心を取り戻す過程か?”と匂わせています。
宙魔界・宙聖界編(第35〜36弾):悲劇のキャラ、アリババ最終形態
邪夢獣アリババ

亀神アリババから悪魔として覚醒した姿で、かつての巨魔霊・ゴーストアリババに酷似した異質な外見を持ち、腹部の聖神ナディアが異聖メディアに変わり魂が異聖メディア側への傾きを示唆してます。
羅獣アリババ

異聖メディアを腹部に宿し、完全に聖心を失ったアリババ。
宙魔界と宙聖界の消滅で現れた新層の形態で、雪華甲羅が開き、邪夢獣アリババからさらに羅獣化変身したアリババ最終進化形(現行最新である第36弾において)。
聖魔大戦の命運を握る存在として描かれ、度重なるの変貌を経て、曼聖羅創造の新たな層母胎となるアリババの運命を暗示されているとされてます。
なぜアリババは「可哀想」と言われるのか
アリババが「可哀想」と語られる理由は、単なる不遇ではありません。上昇と転落、救済と再転落、そして贖罪がシリーズを跨いで反復する構造にあります。
- 上昇の直後に落とされる
騎神→神帝の直後、超悪魔渦重合で生じた魔穴に落ち生死不明へ。 - 闇落ちはほぼ貰い事故
魔洗礼で本人の意志関係なく外部の策略に巻き込まれる。 - 救われても安寧が短い
聖弾流で解放されても、聖Iとして最終局面へ向かう。 - 最終的に世界規模の贖罪を背負う
巨神亀獣として大地を支え続ける“重すぎる役割”に到達。
この積み重ねが、アリババを「悲劇の深さ」の両方で語られる特異な長寿キャラにしています。
さいごに
私も含め、80年代当時ビックリマンを集めていた一部の子供達に軽いトラウマを埋めつけたアリババ(=ゴーストアリババ)でしたが、まさか現代ではさらにグロ怖いことになっているのにビックリです。こうしてみると、ロッテさんアリババの扱いがひどいなぁと思います。
最新弾である第36弾ではヘッドのハムラビシーゲルの剣に何故かアリババの頭部が入っている設定です。もはや闇落ちですらない。

36弾以降は販売が止まっているので続編がでるのか不明ですが、アリババはもう解放してあげてくださいロッテさん…。
出典:ロッテ ビックリマン公式サイト/wikipedia/ビックリマンシール大全集(宝島社)/80年こども大全(宝島社)/コロコロコミック(小学館)
(C) LOTTE/ビックリマンプロジェクト/小学館

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